京のしらべ その七
時代祭
京都三大祭の終わりが、「時代祭」。十月二十二日は、平安京遷都の記念日として、明治二十八年から始められた大祭でございます。涼しさから少しずつ冷え込む日が多くなり、紅葉もそろそろかなと待たれる静かな一頃でございます。
京都千二百年の風俗を時代別に組んだ行列は維新勤王隊の衣装をつけ、ピーヒャラピッピの鼓笛の楽と共に二千人の見せる祭の列が続きます。その道のり四キロ半、秋の陽ざしをあびながら、きらびやかに往時をしのぶのも得がたい一日でございます。程よい疲れと余韻を残しつつ、宿で頂く懐石料理は格別の味わいでございます。陽が落ちるのを待って鞍馬の谷は松明(たいまつ)の火で埋まります。山の下の広場に、大小二百本の松明が勢揃いする様はこの世のものとは思えぬ程の見事さです。
祭りも終わり鞍馬の夜風が身にしみる頃、少しずつ山のもみじが色づいて参ります。朝晩の冷え込みを感じる頃、湯どうふの味が恋しくなります。昔から南禅寺の湯どうふが有名でしたけれど、天竜寺では嵯峨どうふを使った「西山艸堂」(せいざんそうどう)が嵐山のにぎわいとともに盛んでございます。